金はどこからやってきた?
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昔のお金は、金(きん)と交換できることが保証されていてそのおかげで
価値を持っていました。現代のお金は電子マネーで代表されるよう
にその価値は信用を頼りに成り立っています。信用不安になると貴
金属である金を買い求める人があらわれます。では、金の価値はど
こにあるのでしょう。金の価値の高さの秘密は実は宇宙の仕組みの
中で保証されているのです。

私たちの体を作っているタンパク質や脂肪、炭水化物などの材料と
なる元素、たとえば、炭素、窒素、酸素などは、1億度から数十億
度という高温の星の中心部で製造されます。そんな星たちが爆発な
どしていろいろな元素が宇宙全体に散らばり、それが集まって太陽や惑星、そして私
たちができました。

このような星の誕生と爆発は宇宙では日常茶飯事で繰り返しおこっ
ています。炭素や窒素や炭素は宇宙ではありふれた材料です。しか
し、このような過程では金はできません。(図1を参照しながら読み
進みましょう。)

宇宙にあるたくさんの星の中では、太陽は中くらいの重さですが、
太陽の8倍以上の重さを持った「大質量星」と呼ばれる星も少しあ
ります。その大質量星の一部は、その一生の最後に大爆発をしたあ
と、中心部が収縮して「中性子星」とい超高密度の星を残します。

ところで、二つの星がお互いに回りあう連星と呼ばれるものがあり
ます。太陽は単独ですが、連星の場合もあるのです。その連星の両
方の星が大質量星ですと、それぞれが大爆発して中性子星になり、
二つの中性子星が互いに周り合う二重中性子星連星ができることが
稀にあります。もはや頭が混乱しそうですが、ただ、二重中性子連
星というのは稀なことだろうとは想像できますね。

二重中性子星は重力波でエネルギーを失いながら、一億年ほどじっ
くり時間をかけて、徐々に近づき、最後の瞬間で衝突合体してしま
います。この激しい衝突合こそが、宇宙で金が生産される過程なの
です。合体の瞬間に発生する強い重力波が図2のように実際に観測
されました。

このように非常に稀で、途方もなく大きなエネルギーが注入され、
とても長い時間をかけ金が作られます。とても人類の力が及ぶよう
な世界のことではありません。このことが金の揺るぎない価値を与
えているのです。金に触れることがあったらこの宇宙で起きた壮絶
な物語を思い出してください。


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図1 いろいろな元素を作るプロセス http://www.shibatashinpei.jp/lib/yamashin/626-fig1.jpg
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図2 重力波によって中性子星合体が確認された http://www.shibatashinpei.jp/lib/yamashin/626-fig2.jpg
本文終わり
パワポ http://www.shibatashinpei.jp/lib/yamashin/626-fig.pptx references will be note-626