プレセペ(春への橋)

冬から春への橋渡しをしてくれるのが「かに座」です。
星占いに出てくるので知名度の高い星座ですが、
実際にみたことのある人は少ないのでないでしょうか。

今が一番見つけやすいので挑戦しましょう。
今週でしたら夜の8時から9時にかけて真上を見るとそこにある(図1)、
ということでこんな簡単な見つけ方はありません。

ただ問題は、明るい星が一つもないことです。
明るくても4等星ですから、
山形の市街地にある我が家の玄関先では絶望です。
街灯が強すぎるのです。
街灯のない場所を探して、真上の夜空を観察しましょう。

図1のように、
いくつかの明るい星たちに挟まれた暗い空間にあります(丸い点線の中)。
ぐっと腕を伸ばして、手のひらに入る大きさです。
図2のようなカニが想像できるでしょうか。
とくに、北のろば、南のろばと呼ばれるA、Bの星を見つけ、
その側にロバが食べる干し草が入った「かいば桶」とよばれるモヤっとした雲のようなものを見つけられればすごいです。
双眼鏡をお持ちであれば双眼鏡で観察しましょう。
そのモヤっとしたものはたくさんの星が密集した星団であることがわかります。
プレセペ星団です。

このもやっとしたものは古代ギリシャでは「小さな雲」とか「小さな霧」と呼ばれていました。
そしてメソポタミアの星占いではここは天国に行く入り口で、死んだ人の魂がここをとおって天国に行くそうです。
中国では、これを積尸気(ししき)とよんで死者から出てくる気とみなし、
これを囲む四つの星を鬼宿と呼びました。
言語や文化に関係なくメソポタミアも中国も死者の魂という似たイメージを持ったことが面白いですね。
英語ではbeehive(蜂の巣箱)でこちらの方が楽しくていいですね。
春を待つ私たちとしては春霞の源かなと思います。

暖かくなってきたので、夜の散歩はいかがでしょうか。
かに座が待っています。





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図1 今晩午後8時半頃真上の空。 http://www.shibatashinpei.jp/lib/yamashin/661-fig1.jpg
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図2 かに座 http://www.shibatashinpei.jp/lib/yamashin/661-fig2.jpg
本文終わり
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