星の磁気の強さを測る

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もともと物理学の用語であった電子という言葉は
今や日常生活に浸透しています。
スマホの中では電子が動き回ってその働きをこなしています。
電子機器と言いうと細かな仕事をしてくれるイメージですが、
電気自動車を動かすのも電子の流れで、力仕事もこなします。
そして、宇宙のどこにでもこの電子は存在します。

また磁気もどこにでもあります。
私たちの周りの空間にも磁気があって、方位磁石を手に取ると、
磁気の方向を示してくれます。

このどこにでもある磁気の中にどこにでもある電子があると
電子は不思議な運動をします。
電子は、図1の円筒状の青色の皮状の部分に強制的に配置されるのです(電子軌道と呼びます)。
円筒の半径は規則正しく飛び飛びの値で、決まった半径の部分にのみに電子がいます。
断面はちょっと玉ねぎに似ていますが、半径は規則正しくいくつもあり、
磁界に沿って長い筒状ののものです。

そんな電子に光が当たると、光を吸収して小さい半径から大きな半径に移動する事ができます。
吸収する光のエネルギーは磁界の強さによって値が決まっていて、
それ以外のエネルギーを持った光は電子に吸収されることはありません。

この光の吸収が中性子星からの光の中にもよく見えます。
図2は観測例です。
何事もなければ青い曲線になりますが、
実際の観測はピンクのように、二つの赤の矢印のところで光子の数の減少が見られ、
図1で示した電子による光の吸収が起こっています。
この光の吸収エネルギーから磁界の強さが求められます。

中性子星は、時々、このコーナに時々登場して、強力な磁石であると紹介しています。
なんで磁石の強さがわかるのだろう、と思った方もいると思いますが、
これが磁界の測定方法なのですね。
図2のデータを分析すると磁界の強さは地球の磁界の10兆倍ほどあることが分かります。

科学者にとって、そして人類にとって電子の存在はありがたく、感謝したくなります。





図1 磁界中の電子のいる場所 http://www.shibatashinpei.jp/lib/yamashin/689-fig1.jpg
図2 中性子星からの光に見られる磁界中の電子による光の吸収 http://www.shibatashinpei.jp/lib/yamashin/689-fig2.jpg
本文終わり
パワポ http://www.shibatashinpei.jp/lib/yamashin/689-fig.pptx references will be note-689