太陽の中心温度 (No. 723)
date 2022 06 01 --------------------------- 「太陽の中心は1千6百万度くらいあります。」と聞いて、 へぇ、さすがすごい高温ですねと応じますか、 そんなことなんでわかるんですかとさらに問いただしますか。 コロナに感染していないか顔を向けると体温を測ってくれる機械がありますね、 同じような測定器を太陽に向ければ表面の温度は測れます。 でも内部の温度は測定のしようがありません。 太陽の断面のイメージは図1のような高温・高圧の火の玉です。 中の圧力で太陽は膨張しようとします。 しかし、重力は内向きなのでこれを抑えて、バランスしています。 このバランスから中心温度を計算できるでしょうか。 図2はニュートンのりんごの話の漫画です。 1キログラムのリンゴには1キログラムの重力が働きます。 これは地球から引力によるものです。 太陽表面の重力はここから計算できます。 太陽の質量は地球の約33万倍ですので、太陽では重力は地球の約33万倍ありそうです。 ただし、太陽の半径は地球の109倍なのでその二乗で割り算しないといけません。 リンゴでなくて太陽それ自身に働く重力(中心に向かう力)を知りたいので、 さらに太陽の質量を掛け算します。 これで太陽の縮む力が計算できました。 求めた重力を太陽の表面積で割り算します。 すると、重力と釣り合っている圧力が求められます。 圧力が求められたので、次はいよいよ温度です。 蒸気機関の設計でも使う今から300年も前から知られていた法則があります。 圧力は気体の密度と温度に比例するというもので、比例定数も分かっています。 太陽の半径と質量から密度が計算できますので、 圧力から温度が計算できます。 以上の掛け算と割り算を繰り返し電卓でやってみると、 温度が654万度となり、これは平均温度ですから、 中心温度と表面温度の平均がこの値だとすると、 中心温度は1,300万度となり、ほとんど教科書と同じ答えになります。 物理法則を組み合わせれば太陽の中心の温度もちゃんとわかるんですね。 長い旅をお付き合いいただきありがとうございました。
図1 太陽に働く力のバランス http://www.shibatashinpei.jp/lib/yamashin/723-fig1.jpg
図2 ニュートンの重力(万有引力)の法則 http://www.shibatashinpei.jp/lib/yamashin/723-fig2.jpg
本文終わり
パワポ http://www.shibatashinpei.jp/lib/yamashin/723-fig.pptx references will be note-723