太陽系創造 (No. 738)

date 2022 09 04
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人間は好奇心旺盛です。
ですから古代より
「なんでこの土地が存在し、太陽や月や星が存在しているのか」
という、ちょっと考えたくらいではとてもわからない問題にも挑戦してきました。
古事記や日本書紀にも日本の誕生の話が語られています。

地動説が正しいことが分かって、太陽系の姿わかってくると、
どのようにして太陽系ができたかということが新しい疑問として湧いてきました。

当時、渦巻き星雲と呼ばれる天体が知られていました。
図1のようなものです。
カントとラプラスは太陽系はこのような渦巻き星雲からできたという説を唱えました。
図1を見ると中心では太陽ができそうですし、
周りの渦が部分的に固まってやがて惑星になれば、太陽系ができそうですね。
時代としては、日本では伊能忠敬が蝦夷地を測量したり、
西欧諸国が日本に開国を求めていた時代です。

佐藤信淵(さとうひろのぶ)や平田篤胤(ひらたあつたね)という学者たちは、
古事記や日本書紀を信じていましたが、同時に海外から入ってくる科学的な成果を
取り入れることにも熱心でした。
当然、ニュートン力学や地動説も勉強しました。
そして古事記や日本書紀には国産みの前に太陽系の形成が抜けていると感じました。

佐藤信淵は天地鎔造化育論という本を著しました(図2参照)。
そこには、古事記や日本書紀は非常に優れた書物であるので
これを引き継ぎたいということが述べられ、
国産みをしたイザナギ・イザナミの前にいたカタムスビの神が太陽系を作ったという
話を追加しました。

天と地がまだない雲のようなところを
「天之瓊矛(あまのぬぼこ)」掻き回して渦を作りそこから太陽系ができという話です。
カントとラプラスの説と似た考えを独自に作り上げたのです。

わからないことがあっても、新しい知識を好奇心いっぱいで受け入れて
なんとかたくさんことを理解しよとする意気込みは私たちも見習っていいのでないかと
思ってしまいました。


図1 渦巻銀河M81 (提供:NASA) http://www.shibatashinpei.jp/lib/yamashin/738-fig1.jpg
図2 佐藤信淵と天地鎔造化育論 (提供:国立国会図書館) http://www.shibatashinpei.jp/lib/yamashin/738-fig2.jpg
図3 カタムスビの神による太陽系造り http://www.shibatashinpei.jp/lib/yamashin/738-fig3.jpg
本文終わり
パワポ http://www.shibatashinpei.jp/lib/yamashin/738-fig.pptx note: 佐藤 信淵(さとう のぶひろ、明和6年6月15日(1769年7月18日) - 嘉永3年1月6日(1850年2月17日)) 図2の天地鎔造化育論は、明治14.1に出版ですが、原著は確認できませんでしたが江戸時代に 書かれたもので、高田宣和の訓訳のものです。