オーロラは太陽から (No. 824)
date 2023 05 25 --------------------------- 先日は、日本各地でオーロラが見られ大きな話題になりました。 極地方ではいつも見られるものですが、日本で見えるのは滅多にないことです。 空が光るということは、そこには光らせるエネルギーがどこかにあるはずです。 炭火が光るのは燃焼、LEDが光るのは電気、ではオーロラはというと、これは電気で光っています。 オーロラのエネルギー源ははるか1億5千万キロメートル離れた太陽です。 太陽のエネルギーはほとんどが光として放射されます。 しかし、別のエネルギーもあります。 太陽の表面のガスは熱によって対流運動しています。 その運動によって発電することができます。 すると電流がながれ、電磁石になって磁場も発生します。 そのような場所は太陽の活動領域とよばれ、太陽黒点もそのような場所にあります。 太陽の表面を水素ガスから出る光で見たものが図1です。 明るいところがいくつか見えますがそれが活動領域で図1では点線で囲ったあたりが一番 大きな活動領域です。 活動領域で作られた電流と磁場がセットになった塊が、フレアとよばれる爆発現象にともなって、 太陽から飛び出ていくことがあります。 これが磁気嵐となって地球にぶつかってきます(図2)。 地球は自分自身がもっている磁石のおかげで、磁気嵐の侵入を防ぐことができます。 しかし、完全には防ぎきれず、図2の右の方向で描けないほど遠く(磁気圏尾部)から 侵入をゆるし、地球の極地方に電流が流れ込みます。 こうしてオーロラが発生することになります。 今回は、太陽からのエネルギーがとても大きくて極に近い高緯度の場所だけでなく、 日本のような低緯度の場所にも電流が入り込んで来ました。 さらに激しい磁気嵐がやってくれば、 GPSやインターネットなどが機能しなくなり世界は大混乱になるところでした。 (この問題は、このコーナーの757回に解説があります。)
図1 水素の光で見た太陽(提供:国立天文台) http://www.shibatashinpei.jp/lib/yamashin/824-fig1.jpg
図2 地球磁気圏と磁気嵐(提供:NASAを改変) http://www.shibatashinpei.jp/lib/yamashin/824-fig2.jpg
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