ベガの原始惑星系円盤 (No. 851)
date 2023 11 30 --------------------------- カール・セーガンによるSF小説を映画化した「コンタクト」という作品では、 宇宙人との交信相手の星はベガでした。 ベガは織姫星の学名でです。 ベガまでの距離は25光年と非常に近いので、 宇宙人とコンタクトできそうです。 人類最強の赤外線望遠鏡でベガの周りを巡る塵とガスの円盤が観測されました(図1)。 惑星が作られるのはこの円盤の中です。 中央にあるベガは明るすぎるので光をカットして真っ黒にしてあります。 円盤は非常に滑らかな光を放っています。 さずが、織姫だけあってなんとつややかなスムースなお肌でしょう。 右側のメモリの単位au は天文単位で、1 au は太陽と地球の間の距離(1億5千万km)です。 太陽系でいうと海王星の位置が30auになります。 50auあたりが少し暗くなっています。 このつるるるのお肌が天文学者にとっては驚きです。 どうしてかというと、星の周りの円盤には黒い円環が複数あるのが普通だからです。 ベガと同じく25光年の距離にあるフォーマルハウトという星の場合は図2のようです。 少なくとも3重の暗いリングがあります。 ベガとはだいぶ違いますね。 フォーマルハウトは日本では秋のひとつ星とよばれ、 今晩も南の空に見えています。 円盤にある黒い円環の部分には大きな惑星ができています。 惑星ができるとその周りの塵やガスがなくなるためです。 つまり、ベガには土星や木星のような大きな惑星は回っていないことが図1の画像からわかるのです。 50auあたりの暗い部分には海王星くらいの惑星ができている可能性があるそうです。 夜空に輝く星たちの周りをまわる惑星たちの姿が こうやってわかってくるのはとても素敵なことだと思います。
図1 ジェームズ・ウエッブ宇宙望遠鏡によるベガの円盤 (提供: NASA, ESA, CSA, ケイト・スー、他、アストロフィジカル誌、2024) http://www.shibatashinpei.jp/lib/yamashin/851-fig1.jpg
図2 フォーマルハウトの周りの円盤 (提供: NASA, ESA, CSA, A. Gáspár (University of Arizona). Image processing: A. Pagan (STScI)) http://www.shibatashinpei.jp/lib/yamashin/851-fig2.jpg
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