宇宙生命は稀? (No. 862)
date 2025 03 01 --------------------------- 宇宙人については、 宇宙には生命が溢れていて、地球以外にも宇宙人はいっぱいいるという楽観派と 生命誕生の条件は非常に厳しくて地球のような惑星は稀にしか存在しないという 慎重派と意見の分かれるところです。 今日は慎重派に有利な証拠の話です。 夜空のほとんどの星々は惑星を伴っていることはもはや常識です。 太陽より少し小さい赤色わい星の周りの探査が進んでいて、そこでは惑星がたくさん見つかっています。 赤色わい星は寿命が何百億年と長いので、 生命が進化するための時間が十分あるのが魅力です。 太陽より質量がずっと大きくて寿命が1億年より短いようは星の周りの惑星では 生命が誕生しても進化して高等生物にはならないと考えられます。 中心の恒星に非常に近いところにある惑星は暑すぎて生命には適さないですし、 遠すぎると寒すぎて生命には適さないでしょう。 ちょうどいい距離があってそれをハビタブルゾーン(生命居住可能領域)と言います(図1)。 今日話題にするウォルフ359という星のハビタブルゾーンは この星からおよそ0.052天文単位から0.1天文単位の範囲です。 1天文単位は地球と太陽の間の距離です。 随分と星に近いところがハビタブルゾーンですね。 その外側のスノーラインより外は氷やドライアイスの世界になります。 最近、チャンドラとXMMとよばれる二つのX線望遠鏡でウォルフ359を観測したところ、 大きなフレアー(星表面の爆発現象)を頻繁に起こしていることがわかりました(図2)。 太陽でもフレアーが起こって通信に障害が出たりしますが、それより激しいものです。 すると惑星に強いX線や紫外線が当たります。 星から離れないと危険ですし、惑星は温室効果ガスをしっかり持っていて X線や紫外線を防ぎつつ惑星表面が寒くなりすぎないようになっている必要があります。 この星の観測結果を1月に開催されたアメリカ天文学会で発表したスコット・ウォルクさんの研究チームは、 ウォルフ359の惑星が生命を持つのはなかなか厳しいのでないかと言っています。 ウォルフ359はしし座にあって、地球から7.8光年しか離れていないお隣の星です。
図1 ハビタブルゾーン http://www.shibatashinpei.jp/lib/yamashin/862-fig1.jpg
図2 ウォルフ359 想像図 (提供:NASA/CXC/SAO/ X線; S.Wolk, et al., 挿絵; M.Weiss, 画像;N. Wolk) http://www.shibatashinpei.jp/lib/yamashin/862-fig2.jpg
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