銀河系の中心はブラックホールの巣? (No. 868)
date 2025 04 12 --------------------------- 3月に水戸で開催された日本天文学会のおり、 理化学研究所の三原建弘さんに偶然お会いし雑談している中で、 私たちの銀河の中心にはブラックホールがウヨウヨしているんだということを聞きました。 理化学研究所ではMAXI(マキシー)というX線の宇宙監視カメラを運用していて、 いろいろなX線で変動する天体を見つけます。 その中に、ブラックホールを含む連星がたくさん見つかるのです。 私たちの銀河の中心には太陽の質量の400万倍もの質量を持つ巨大ブラックホールがあり、 それが電波望遠鏡で確認されたというニュースがあったのを覚えている方もおいでと思います。 それとは別に、太陽の質量の数十倍くらいの小さい質量のブラックホールがあるのです (ここでは恒星質量ブラックホールと呼びましょう)。 改めて、私たちの銀河の中心付近の様子を見てみると図1のようです。 これは、電波望遠鏡MeerKAT(ミーヤキャット)が撮影した画像です。 銀河中心の周り2度くらいの範囲(満月4個分)の画像です。 Sgr Aと書いてあるところが巨大ブラックホールのあるところです。 シャボン玉のように見えるのが超新星爆発の爆風でできた泡です。 細い線がいっぱい見えますが、その多くは強い磁力線に沿ってシンクロトロン放射で光っているものです。 私の研究しているパルサーという天体が長く尾を引いていてそれが写っているものもあります。 巨大ブラックホールSgr Aのすぐ近く(周り10分の1度ほど)をチャンドラX線望遠鏡でみた 映像が図2で、恒星質量ブラックホールにマークをしています。 おそらく2000個ほどのブラックホールがここにひしめいていると予想されています。 全宇宙を眺めるとブラックホールは珍しい天体ではなく、まさしくウヨウヨしているのです。 一番最初に見つかったブラックホールははくちょう座X-1という名前をつけられた天体ですが、 これが見つかったとき天文学者は、宇宙にはブラックホールがウヨウヨしているんだと思いました。 ゴキブリの法則というのがあります。 ゴキブリが一匹見つかれば、 実際にはものすごいたくさん居るということと同じで、 ひとつ新しい種類の天体が見つかれば、同種のものは宇宙にいっぱいあるといことを言っています。
図1 私たちの銀河の中心付近の電波による映像 提供:Ian Heywood (Oxford U.), SARAO; Color Processing, Juan Carlos Munoz-Mateos(ESO)) http://www.shibatashinpei.jp/lib/yamashin/868-fig1.jpg
図2 チャンドラX線望遠鏡による私たちの銀河の中心Sgr Aの周りのブラックホールの分布 提供:NASA/CXC/Columbia Univ./C. Hailey et al. http://www.shibatashinpei.jp/lib/yamashin/868-fig2.jpg
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