明けの明星とイナンナ女神 (No. 876)
date 2025 06 07 --------------------------- 夜明け前の夜空はどうなっているでしょう。 早起きの得意な方はきっと明るい金星を見ていることと思います。 図1は明朝3時30分頃の東の空です。 夏至も近く日の出は山形市で4時15分ですから、そろそろ空が明るくなりかけています。 真東に明るい金星が輝いています。 これから夏にかけてしばらくの間、金星がよく見えています。 土星も見えています。 星座はカシオペアやカペラが見えていますので、 秋から冬の星座と知られる星座が見えています。 金星は女神という印象があると思います。 その輝きは素晴らしいですから、納得できます。 古代メソポタミアでもイナンナ女神とされ、その後、イシュタル、 ギリシアではアプロディーテー、ローマを経てビーナスへと今に伝わっています。 メソポタミアでのイメージはちょっと私たちのとは違うようです。 こんな感じです。 恐るべき聖なる力「メ」の女神、脅威を身に纏い、嵐と洪水に覆われた大戦場を 駆け巡って血飛沫を浴びる、 戦術とは如何なるものかを熟知しおられる偉大な女主人イナンナよ。 (シュメル神話の世界:岡田明子、小林登志子著、中公新書) で始まる神話が残っています。 この後もイナンナの勇猛果敢を讃える凄まじい描写が続きます。 イナンナは反逆の山エビフを滅ぼすと宣言し、戦闘体制に入ります。 このような描写が続いた後、物語は、 シュメルの最高神アンの言葉に移ります 「可愛い娘がエビフの山々を滅ぼそうなどといておるが、、、、。 乙女イナンナよ、そのようなところに出向いて、逆らっても無駄じゃよ。」 これを聞いたイナンナは怒り狂って、ますます、闘志をあらわにし、 物語はものすごい戦闘場面へと突入します。 最後にイナンナの勝利に終わって「偉大な娘、乙女イナンナ万歳!」 で終わるというストリーです。 全編を読むとなかなか迫力のあるストーリーです。 早起きして、金星を拝むと元気が出そうです。 ちなみにイナンナ女神を表すシュメールの古い文字は図2のようで、 また違ったイメージです。葦の束だそうです。 8月12日には金星と木星が並ぶという風景が見られます。 これまたパワフルな景色でしょう。お楽しみに。
図1 6月8日午前3時30分頃の東の空です。 http://www.shibatashinpei.jp/lib/yamashin/876-fig1.jpg
図2 イナンナを表す文字(出典:シュメル、小林登志子著、中公新書) 小さい取り扱いで結構です。 http://www.shibatashinpei.jp/lib/yamashin/876-fig2.jpg
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