星を見る目(惑星探査) (No. 882)
date 2025 07 19
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望遠鏡の性能はどんどん向上し、
倍率を上げれば、夜空の星々の周りを回っている惑星が見える時代になりました。
その一つ、ぎょしゃ座のAB星を紹介しましょう。
場所は図1に示すようにぎょしゃ座とおうし座の間くらいです。
近くには、
非常に明るいぎょしゃ座のカペラやおうし座のアルデバラン、
スバル(プレアデス星団)などがあります。
この星を国立天文台ハワイ観測所にある「すばる望遠鏡」で観測した結果が図2の画像です。
中心にあるAB星は明るすぎるのでコロナグラフという技術で隠して(☆ のあるところ)、
周りの微弱な光が写るように工夫されています。
中央の星から下方に明るい星が写っていますね。
研究結果によるとこれは木星の10倍もの巨大ガス惑星が生まれつつあるところのようで、
周りからのガスが降り積もりつつある状態のようで、自ら赤外線で光っています。
中心の星からの距離はおよそ150億kmあります。
中心の星を取り巻く光の渦は原始惑星系円盤と言って、
この中から惑星が生まれます。
この画像からは見えませんが小さな地球のような惑星も生まれつつあるのかもしれません。
いくら大きな望遠鏡を使っても地上に設置されていれば大気の揺らぎのためにこんな精密な画像は撮れません。
ちょうどプールの底から空を見上げるような感じでしか見えなのです。
この観測では、コロナグラフ超補償光学系(スケックエーオー)と検出器(カリス)という強力な道具が使われています。
図3のように、星からの光はほとんど平面波として地球にやってきます。
これが地球の空気で乱されてピンぼけの画像になるのです。
反射望遠鏡の鏡を2000箇所で毎秒2000回も微妙に調整して、ゆらぎを消去する
戻す技術があります。
それが補償光学と呼ばれる技術です。
図3で鏡からの反射波(黒)には揺らぎがなく、焦点(★ )は綺麗です。
さらに、
中心の星を隠すコロナグラフ、
コントラスを上げる技術、光を波長ごとに分ける技術など、
様々な工夫を重ねて図2のような画像が撮れたのでした。
技術の発展で、
地球のような小さい惑星からの光を捉え、
その表面に海があるかとか
植物が居るかなどが分かる時代が間も無くやってくるでしょう。

図1 ぎょしゃ座AB星の位置
http://www.shibatashinpei.jp/lib/yamashin/882-fig1.jpg

図2 ぎょしゃ座ABのまわりの原始惑星 (クレジット:T. Currie/Subaru Telescope)
http://www.shibatashinpei.jp/lib/yamashin/882-fig2.jpg

図3 右図のように大気で乱れた光を補正して綺麗な ★ の像を作る補償光学記述
http://www.shibatashinpei.jp/lib/yamashin/882-fig3.jpg
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