遺伝子の材料は宇宙にも (No. 908)

(他の記事も読む) (homeへ)
date 2025 01 25
---------------------------
日が沈んで暗くなってきた頃、
西の空のみずがめ座に小惑星のべヌー(Bennu)(図1)が見えます。
といっても、暗いので大きな望遠鏡を使えばということですが。
この惑星からは、ちょうど日本のはやぶさ計画の様に、サンプルが採取されました。
世界中で手分けをして採集した物質の成分の分析が進められています。
ネイチャー・ジェオサイエンス誌に発表された論文によると、
古川善博さん(東北大学)らのチームはこの小惑星のサンプルから糖を発見したそうです。
宇宙空間でも糖ができるんだと深く感銘しました。
6種類の糖が見つかったそうですが、特に注目されるのはリボースと呼ばれるものです。

全ての生物の設計図ともいわれる遺伝子は具体的にはRNAやDNAで作られています。
RNAはリボースとリン酸が繋がって糸の様になっていて、
そこに生命の設計図になる暗号として核酸塩基がくっついた構造をしています(図2)。
すでにこれまでの小惑星の探査で、リン酸と核酸塩基が見つかっていましたので、
今回のリボースの発見により、RNAを作る三つのパーツの全てが宇宙で見つかったことになります。
遺伝情報をコード化する5種類の核酸塩基すべてが宇宙で見つかっています。
生命の起源物質も意外と簡単に自然に、しかも、宇宙空間で作られてるようです。

ここであらためて思い起こされるのは私たち人類が存在することは宇宙の中では平凡なことなんだという
「平凡原理」です。

宇宙が誕生して、最初は生命がないのですが、
まず万有引力の働きで星ができます。
星の中では核融合反応によって、炭素、酸素、窒素や他のたくさんの元素が合成されます。
これが宇宙に広がって、また重力の作業で星ができますが、この時、原始星の周りのガスの中で、
自然に惑星ができます。
この段階で、いろいろな有機物もRNAの材料などもできてしまうことが今回わかりました。
言い忘れていましたが、星の中では酸素もいっぱい作られるので、
宇宙誕生時にあった水素と結合することで水も大量に作られます。
短い文の中では語りきれないたくさんの過程が底には含まれていますが、
ごく自然なこととして惑星や生命が生まれ出てくると言うのは本当に不思議なことですね。




図1 小惑星べヌー (Credit: NASA/Goddard/University of Arizona https://www.flickr.com/photos/gsfc/53141331019) http://www.shibatashinpei.jp/lib/yamashin/908-fig1.jpg
図2 RNAの三つの構成要素 http://www.shibatashinpei.jp/lib/yamashin/908-fig2.jpg
本文終わり   (他の記事も読む)(homeへ)
パワポ http://www.shibatashinpei.jp/lib/yamashin/908-fig.pptx pptx references will be note-908 file:///Users/shibata/Desktop/ss/ref/bibitems/s41561-025-01838-6.pdf Bio-essential sugars in samples from asteroid Bennu https://doi.org/10.1038/s41561-025-01838-6 Yoshihiro Furukawa 1 , Sako Sunami1, Yoshinori Takano 2,3, Toshiki Koga 2, Yuta Hirakawa2, Yasuhiro Oba 4, Hiroshi Naraoka5, Daisuke Saigusa 6,7, Takaaki Yoshikawa8, Satoru Tanaka9, Daniel P. Glavin 10, Jason P. Dworkin 10, Harold C. Connolly Jr.11,12,13 & Dante S. Lauretta 11 nature geosience key ベンヌから糖類