英雄ヘラクレスによって退治された星座 (No. 869)
date 2025 04 19
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ギリシア神話の英雄、ヘラクレスやオリオンが星座になっているのはわかるのですが、
ヘラクレスによって退治された生き物たちが星座になって今見えています。
しし座、かに座、うみへび座がそれです。
しし座は、
ネメアの森に住み、人々を苦しめていた不死身のライオン。
ヘラクレスの十二の冒険のお話の一番最初がこのネメアのライオン退治でした。
二番目の冒険がレルネの沼地にすむヒュドラ退治です。
九つの首を持つ化け物です。
日本の神話で言うとヤマタノオロチ(八岐大蛇)のような存在です。
ヒュドラの意味はもとは水蛇で、星座の方も首がたくさんある化け物でなくて普通の蛇のようです。
かに座は、
ヒュドラ退治の最中にヘラクレスをよく思わないヘラが遣わした化けがにです。
図1は今晩8時頃の夜空です。
この図を見ながら三つの星座を探してみましょう。
南を向いて右手の方向には賑やかな冬の星座が見えていますが、
中央(真南)からやや左手に今日の話題の星座が見えています。
火星が現在かに座に接近中ですので、火星を目当てにかに座を探してみましょう。
明るい星がないので、「この辺りかな?」くらいしかわからないかもしれません。
かに座から左手(東)に図1のようにライオンの形をしたしし座が見つかると思います。
しし座の下(南)に長くうみへび座が横たわっています。
人口の光があまりないところで観察すると、うみへびの頭の部分が確認でき、
そこから蛇のように星が並んでいることが確認できると思います。
人口の光が多い市街地でも丸でかこったアルファルドという星は目立つので見つけてください。
図2はデンデラ・ハトホル神殿天井に描かれた天球図ですが、
たしかに、この三つの星座を見つけることができます。
ギリシア神話が成立するずっと以前のメソポタミア時代からすでにこれらの星座は存在していて、
あとから神話と結びついたのでないかと思われます。
そうすれば、英雄に退治されたものが星座になっている理由も理解できますね。

図1 今晩、午後8時頃の夜空(ステラリウムを用いて作図)
http://www.shibatashinpei.jp/lib/yamashin/869-fig1.jpg

図2 デンデラ・ハトホル神殿天井レリーフ(部分)(ルーブル博物館蔵:撮影:藤原智子)
http://www.shibatashinpei.jp/lib/yamashin/869-fig2.jpg
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